Case4 アサヒ飲料 株式会社 九州支社  【福岡市博多区】

「本人以外には見えないバリア。社内のみんなで理解できたら・・」

 


営業企画部 課長補佐 十文字 秀人さん

 

飲料メーカーで販売を担うアサヒ飲料株式会社九州支社。
事業場として、精神障がいのある方を雇用するのは初めてで、ノウハウもなく不安も大きかったそうです。でも、

十文字「採用した岡村さんが非常に優秀で、自身の課題を明確にして伝えてくれるので、本当に助かっています。
逆に、優秀であるがために発達障がいがあることが分かりづらく、そのことが社内での心配事といえるかもしれません。」

岡村さんとの出会いは、県主催の障がい者就職相談会でのこと。
その後、書類応募や職場見学、2回の面接などを経て採用を決定。
3か月間のトライアル雇用からのスタートとなりました。

 

「時間」を与え、「待つ」姿勢を見せることで、安心して頼れる職場に !

 

定着への双方の努力と、外部からのサポートがカギに。

 

 

質問 定着に向けて苦労したのは、どんなところですか?

十文字 岡村さんは、障がいがあることをいい意味で忘れさせてくれるのですが、やはり困ったこと悩んでいることは当然あるはず。
しかし、社内の誰かに全てを伝えるのは難しいようです。

そこで重要だったのは、県の職業紹介事業の担当者が行ってくれた定期面談です。
社内では言いづらい本人の思いも拾ってもらい、アドバイスを受けることができました。
トライアル雇用期間を終え、継続雇用となってからも一定期間支援を継続していただいたことで、現在まで安定して勤務することができています。

質問 ご本人も努力されたのでしょうね。

十文字 出社するだけでも、エネルギーを使っていましたし。
それでも1時間に1回、ストレッチをして体をほぐしたりして、自身で工夫して仕事をしていたようです。

 

一週間ごとの日報の振り返りで、課題を明確化し迅速に解決。

 

 

 

質問 岡村さんに仕事を割り振っていくにあたり、苦労されたことは?

十文字 岡村さんは、実は文章を書くことが苦手とのこと。
短い社内メールひとつとっても、レスポンスに時間を要してしまいます。

また、大人数の会議になると、誰が何を言ったのかを拾うことができなくなる。
普段はしっかりコミュニケーションが取れていますし、とても聡明な方なので、『どうして、そんなことができないの?』と思われてしまい、時にはボタンの掛け違いのようなことも起こりましたね。

質問 やってみないとわからない、というのは、そういうことなんですね。

十文字 岡村さんは、できることとできないことを発信してくれるので、社内でも面談を定期的に行い、抱えているものを吐き出していただいています。
また、日報を毎日つけて、それを一週間分振り返ることで、課題を明確にするようにしています。
月報になると時間が空きすぎて、対処が遅くなってしまいますからね。

 

新しい仕事に挑戦できる社内体制を準備中。

 

質問 今後の岡村さんに、どんな点を期待されていますか?

十文字現在、岡村さんには、郵便物の社内配布や文具の管理、営業車のメンテナンスや運行日誌の管理をしていただいて
いますが、1年たち、そろそろ業務領域を広げ、次のステップに進もうかと話をしています。
書類を集約したり、取りまとめたりも精度が高いので、バリエーションを増やして、業務の範囲を広げていけるのではないかと。
現在、社内で、仕事をどう切り出すか、準備を進めているところです。

質問 社内の環境づくりが大切になりそうですね。

十文字 岡村さんとの窓口的な役割をするのが、今のところ私だけなので、社内に複数人必要だなと思っています。
そのためには、障がいのある社員と 、コミュニケーションをしっかり取る、また質問できる環境や雰囲気をどう作るかが、重
要になりそうです。

岡村さんは自立を目指していますので、社内でのサポート体制も早く整えていきたいですね。

 

 

 

 

担当者の聴いてくれる姿に、頼っていいんだ」と入社を決意。

 

 

岡村 望 さん(営業企画部) 
2年前にハローワークのセミナーに参加する機会があり、講師の先生から勧められたことがきっかけで発達障がいの診断を受けました。
そこから県主催の障がい者就職相談会に参加し、アサヒ飲料の担当者の方とお会いしたんです。

正直、アサヒ飲料と私の障がい特性は合わないのかもしれません。
というのも、スピード感があり、変化に富んでいる会社だから。

私は、ルーティンワークは得意ですが、変化や突発的なことは苦手です。
でも、キャリアステップや給与テーブルが分かりやすく示されていて、自分の将来像を描きやすかったことで興味を持ちました。
さらには、当時の担当の方が、私を受け入れるために動こうと前向きに語ってくださって。
その熱量に心を動かされました。

 

 

仕事の説明は、必ず手順書を用意してもらっています。
それが私にはわかりづらければ、自分でカスタマイズします。
皆さんからは、依頼のペースや量を調節するなど、気遣っていただいています。

変化に弱い私にとって、人事異動は大事件です。
自分の席から見える社内の景色や、座っている人が変わったりすることで、何もわからなくなります。
自分用に作成した座席表も作り直しです。

ですが、仕事の納期を長めに取ってもらったり、繰り返し説明してもらったり、分からない不安を解消する時間をとっていた
だいているので、落ち着いて対応できています。

今、新しい仕事に挑戦できる環境を、皆さんに作っていただいていますので、これからが楽しみです。
困った事や要望を適宜相談でき、体調や障がい特性を踏まえて解決策を一緒に考えてくれるので、安心感と働きやすさを感じています。
この会社に入社して、本当に良かったと思っています。

 

アサヒ飲料株式会社 九州支社

【事業内容】
各種飲料水の製造、販売

●所 在 地/福岡市博多区博多駅前3-26-23
     太陽生命博多ビル
      ℡092-414-3311
●従業員数/86名(2019年2月末現在)
●HP/https://www.asahiinryo.co.jp/

 

 



TEL:092-733-3925

■事業主体:福岡県福祉労働部労働局新雇用開発課
■事務局:株式会社綜合キャリアトラスト