Case1 株式会社カンナ 【福岡市東区】
まずは「やってみよう」の一歩から。

代表取締役社長 鉄穴 英明さん
エステティックサロンの直営店の運営を中心に、レストランや太陽光事業も展開する株式会社カンナ。
身体に障がいがある方は1名雇用しているものの、精神や知的面に障がいのある方の採用には実績がなく、少し不安だったといいます。
社長「当社としては、もう一人採用したいものの、正直大丈夫なんだろうかと。
そこで、まずは障がい者雇用についての説明会や相談会に参加してみたんです」
やってみないとわからない、と意欲的な鉄穴社長は、相談会に参加していたNさんと対面。
実習やトライアル雇用などを通して、正式に採用となり、4月で1年を迎えます。
経営者が率先して声をかけることで、元気になる!
時間がかかっても、成長を感じられる職場に!
■本人用の仕事を切り出し、できたら評価。
社長 採用したNさんは、明るくハキハキとしていて、話していると障がいがあることを忘れるくらい。
当社としては、『出社する』癖をつけてもらうことを第一にしつつ、無理はさせない。
遅刻しても叱らないし、体調が悪かったら休みなさいと言う。
会社のシステムの中に組み込んでしまうとプレッシャーでつぶれてしまうので、ゆっくり育ってくれればと思っています。
加えて重要なのは、本人に任せる仕事の作り方だと思います。
本人のために、新しい仕事を作ることもあります。
例えば、高圧洗浄機にチャレンジしてもらいガラス磨きをしてもらったり、私の一日のスケジュールをラインで送ってもらったり。
正直、とても助かっていますし、評価するとやりがいを感じるようですよ。
■「できなくても当たり前」くらいの認識で。
質問 一方、社内の受け入れ態勢はどのように整えたのでしょうか?
社長 担当を付けるなどサポート体制は整えましたが、逆にサポートする側がエネルギーと神経を使いすぎて倒れてしまっては意味がありません。
本人に伝わらなくても、仕事がなかなかできなくても、社内では『そういうものなんだ』と認識する。
ここが重要です。
時には社員同士、言葉や気持ちのすれ違いなどはあるようですが、それは障がいの有無に関わらずですよね。
ですから、できるだけ私が直接コミュニケーションを取り、仕事のこともプライベートの話もします。
仕事についてはオーバーなくらい褒めて、自身で成長を感じてもらえればもっと成長してくれると思っています。
■本人にも担当者にも、負荷をかけない体制づくり。
質問 代表自らがNさんを支えるとともに、担当者に必要以上の負荷をかけないよう気を配る。
担当者を楽にすることが、職場内のチームワークにもつながるし、Nさんが気を遣わずに仕事に専念できることにもつながるのですね。
社長 Nさんは頑張りすぎるところがあり、仕事を引き受けすぎて体調を崩したこともありました。
仕事の調整や優先順位をつけたりするのが苦手なようですが、やればいろんなことができる能力はあります。
調子のいいときにいろんなことに挑戦してもらい、できたら褒めたり、ありがとうを伝えたりする。
期待しすぎず、慌てず、長い目で見れば必要な人材に育ってくれるでしょう。
まずは1年を目標に頑張ってほしいですね。

具体的な指示があれば、仕事が進めやすい。
連絡ノートの活用で、誤解も解消。

Nさん(本社事務)
4月から、本社で事務補助の仕事をしています。
具体的には電話の取り次ぎや、社長がお客様と話しているときにメモを取ったり、
お客様のご案内をしたりしています。
またエステサロンが忙しい時は、電話対応のお手伝いをしたりしています。
学生の頃から、周囲と馴染めないことに違和感を感じていました。
コミュニケーションをとるのが上手でなく、気になることがあると集中できなくなります。
例えば、誰かがドアを勢いよく閉めたら、「私、何か悪いことしたかな」と、そのことばかり気にしたり。
誰かが冗談を言っても、「冗談だよ」と言われない限り、もしかしたら本気なんじゃないかと不安になったり。